フードバンクうつのみやは総合相談支援を目指し、活動しています。
ただ食品を渡すだけではなく、生活の状況を聞き取り、「どうしたらこの人の生活が再建できるか?」という視点から、その人に必要な情報(制度や支援機関など)を伝えています。
フードバンクに来るきっかけは多くが「食に困っている」から。しかし、その背景は人それぞれ、千差万別です。多くの場合、生活は一回食品をお渡ししただけでは立て直すことができません。そのため、私達はフードバンクの利用回数に特に上限は設けていません。
コロナ禍ということも影響し、今年はフードバンクにも大きな変化がありました。
1度の利用では立ち直れない。
上のグラフは、2018年4月から2021年3月までの、月ごとのフードバンク相談者の数です。青色の折れ線は新規(初めて)利用者、オレンジ色の折れ線は複数回(1回以上)の相談者の数です。
①複数回の相談者が約2倍に(2018→2020)
月平均では2018年は約25人、2019年は30人、2020年は約48人でした。2021年3月には75人の複数回利用者が来所。2018年と2020年を比較すると、約2倍に増えていました。新規相談者と同じように複数利用者が増加の一途をたどり、1度の支援では生活が立てなおらなくなっています。
②毎年4~5月に相談者が増える傾向がある
年度ごとで比較すると、毎年4~5月には、複数回利用者も新規利用者も跳ね上がって増えています。年度始めということもあり、生活や仕事の環境が変化する人が多いことが要因として考えられます。
③今後も増加の可能性は大
2020年度の月の最高人数(約110人:2020年5月)を、2021年1月の時点でほぼ超えています。今後も相談者が増え続けると予想されます。
最もフードバンク利用者が多かった2020年度
このグラフは、フードバンクの全利用者(複数・新規含む&相談者・食品提供のみも含む)の、月別の利用者を年度ごとまとめました。青色が2018年度、黄色が2019年度、赤色が2020年度です。どの月も、過去2年度に比べて、2020年度が最も多くなっています。
1日に4~5人が食品を求めて来所
年度ごとの月平均は、
◆2018年度 :57人
◆2019年度 :70人
◆2020年度 :102人
となっています。近年大幅に増加しています。月に102人の利用者がいるということは、1日あたり4~5人(=102人÷22開所日)の利用者がいるということになります。毎日、食に困る人が絶えず訪れます。
コロナ×フードバンクの認知度×複数支援回数の増加
2020年度にフードバンクの利用者が増えた要因として考えられるのは、以下の3つです。
①コロナ禍で困窮する人が増えたこと
「コロナ禍で失業した」「転職もできない」「シフトに入れてもらえない」といった声は多く聞かれ、コロナ流行初期から1年以上たった今も、その状況は変わりません。職のあり方自体が変化しており、仕事につけない人はいつまでも見通しがつかない…格差が広がっているように感じます。パート収入でなんとか生計を立てていた人が困窮…というケースも多いです。
②フードバンクの認知度が上がったこと
フードバンク自体の認知度が上がり、困ったときに「フードバンクを利用してみよう」という人が増えたことが考えられます。ハローワークや派遣会社から、また外国人は知人から紹介されて来る人が多いです。最も多いのが、市役所や社会福祉協議会から紹介されるケースです。支援機関を渡り歩いて、フードバンクに辿り着く人が多いです。どうしてそうなってしまうのでしょうか。
③複数支援者が増加した=一度の支援では生活が立ち直らないこと
グラフ①でも述べましたが、複数支援をせざるを得ない人が増えています。「生活保護の受給までのつなぎで」といった人や、初回で話を伺って他の支援機関を紹介しフードバンクの利用は終わる人もいます。しかし、多くは、一度お話を聞いただけでは生活状況が聞き取りきれなかったり、相談者自身が自分の状況や今後どうしていくかという意思をうまく言葉にできなかったり、整理できていなかったりします。その人自身が地域で孤立してしまっていることが想像できます。
グラフ③は、グラフ②を年度別に折れ線グラフにしたものです。目に見えて、2020年度が毎月多いことがわかります。
ともに食のセーフティネットをつくりましょう
あなたにできることから、フードバンクうつのみやへのご協力をお願いいたします。
- 食品の寄贈 賞味期限が一ヶ月以上あるものでしたら、缶詰め1つから受け付けます。
- お金の寄付 会員への入会・単発寄付でのご協力をお願いいたします。
- ボランティア 特に相談ボランティアを募集しています。相手の話に耳を傾けることができれば、どなたでも。
- 寄付つき自販機の設置 1本あたり2円が寄付になります。かかるのは設置料のみ。
- 食品回収「きずなBOX」の設置 お店に、お寺に、病院に。身近で食品を集めてみませんか?
私達だけでは、フードバンク活動はできません。地域の皆様の日頃からのご協力により活動ができています。力を合わせ、ともに食のセーフティネットをつくりましょう。
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